松田弘 サザンビートのドラミングから学べること

松田弘のドラミングはやっぱり超絶うまかった

松田弘と言えは、言わずと知れた、サザンオールスターズのドラマーとして、一際、異彩を放っている。

日本でも、トップクラスの、ドラマーだ。

いや、松田弘は、もはや、NO.1ドラマーと言っても過言ではない。

ドラムと言う楽器は、面白いもので、叩くドラマーによって、同じ音符でも、10人10色のサウンドを奏でる。

恐らく、ドラムと言う楽器ほど、演奏する人の、性格が、滲み出る楽器は、ドラムをおいて他にはないだろう。

そんな、松田弘さんのドラミングは、聴いてる側、そして、何より、シンガーにとって、実に、気を使ったドラミングがされていて、唄い手の力量をより、高く引き出しているのが特徴だ。

そして、その唄い手が、日本を代表する、唯一無二の桑田佳祐さんと言うから、今のサザンオールスターズ位置付けは、何ら不思議ではない。

サザンオールスターズのデビュー当初から、今のサザンオールスターズのポジションは、分かっていたと言っても、過言ではないだろう。

その、天才的とも言えるスキルと能力が、デビュー当初から、備わっていたのだ。

松田弘さんの、ドラミングは、興味津々で、とても、特徴的で、そして、中毒性がある。

それは、松田弘さんのドラムが上手いと言うだけの話ではない。

サウンドに、血が通っているのだ。

血が通う?

どゆこと?

ご存知の通り、今や、ドラミングに限らず、大半の楽器は、機械的に、音源を創り出すことができる。

ドラムもまた、その例外ではなく、簡単に、ドラムのプログラミングさえすれば、人が、ドラムを叩かなくても、完璧なリズムが刻める。

ある意味では、プログラミングドラムの方が、寸分の狂いもない。

しかし、同じ、音符をプログラミングで創ったサウンドと、松田弘さんが、叩いたサウンドとでは、雲泥の差があるのは、言うまでもないだろう。

血が通うドラミングとは、砕いて言うと、松田弘さんのドラミングは、音に、熱があって、気持ちがこもっていると言うことだ。

ボーカルの力をいかに、最大限に引き出すか・・・つまり、いかに、ボーカルを気持ちよく、唄わせるかに、終始している。

バンドとしての、最重要取り組み事項が、ドラムを目立たせたいないら、ソロでやればいい。

でも、バンドは、唄い手を目立たせてナンボのユニットだ。

ドラムと言う楽器は、一際、そう言った、熱や想いや、気持ちが、音に反映される楽器だ。

さて、では、松田弘さんのドラミング、どんなところが、上手くてスゴいのか、段階的に解説していこう。

筆者は、日本で、屈指のドラマーは、2人いると想っている。

1人は、松田弘さん、そして、もう1人は、村上ポンタ秀一さん、この、2人は、ドラムを叩いているのではなく、ドラムで、唄っている。

松田弘のサザンビートは、かつてない全見せ映像垂れ流し

さて、サザンオールスターズの松田弘さん、今年は、サザンの活躍は、無いことから、「松田弘のサザンビート」という、YouTubeチャネルを開設した。

サザンが、デビューして、40年近いが、かつて、松田弘さんが、ご自身のドラミングについて、こうも、大々的に、公の場に公開したことはなかった。

だから、筆者のような、松田弘信者は、これまで、ビデオテープやDVDを繰り返し、流しながら、「多分、こうやってるんだな」と言う、想像で、模倣を繰り返していた。

でも、本当は、実は、左足のかかとは、上げて状態キープなのか、べードラは、かかと踏みなのか、つま先踏みなのかとか、ハイハットの高さは、ちょっと高めだとか、もう、本当に見えない箇所のその先は、想像に任せて、妄想するしかなかったのだ。

それが、今般、松田弘のサザンビートでは、あからさまに、松田弘さんの、ポジショニングが丸見えで、且つ、どれくらいの強さで、皮を叩いているのかも、赤裸々に分かってしまうと言う、奇跡の映像が、いつでも、繰り返し見れるという、それは、 もう、目から鱗の感動以外の何物でもなかった。

何より、「なるほど、こういう具合で、叩いているから、こう、聴こえるんだ」と、イメージできる。

ドラムをやっている人なら、分かると思うが、どのくらいの打力、叩き方、座り方かで、ドラムの音は、ガラッと変わるから、ポジィショニングと、打力が分かることは、取り分け参考になる。

松田弘と村上ポンタ秀一で世界制覇できる

結論から言うと、松田弘さんと、村上ポンタ秀一さんの、それぞれの秀でた、 リズム感と音楽センスを持ってすれば、これはもう、世界制覇できるほど、お2人のレベルと言うか、感性は高いし、完成度は高い。

まず、リズム楽器の場合、機械のように正確であることが必須になるが、ただ、正確なだけで、感動レベルに達するなら、リズムボックスで事足りる。

しかし、そうはいかないのが、ドラムと言う楽器だ。

みなさんは、こういう経験は、ないだろうか?

特に、テレビを集中して見ていなくても、「あれっ、これ、弘さんじゃない?」

そう、テレビをよく見ていなくても、誰が叩いているかが、分かること。

これこそが、一流のドラマーだと、筆者は、結論付ける。

そう、癖になるほど、見なくても誰が叩いているのかが分かり、快感さえ覚えるドラマーこそが、超一流のドラマーだと言える。

さて、では、それぞれのドラムとの向き合い方について、能書きを垂れてみたい。

村上ポンタ秀一的ドラム感

村上ポンタ秀一さんは、とにかく、どんなリズムでも、刻める日本随一のドラマー。

当初は、日本でも、歌謡曲番組が、全盛期だった頃、殆どのメジャーな歌手の、バックバンドのドラマーとして、活躍もしていた。

自身でも、「俺が叩いた」と言う著者を出版された。

本が出来るくらい、叩いたと言うことだ。

有名どころでは、泉谷しげる、近藤房之助、沢田研二、角松俊樹、原由子、ドリカム、高中正義など、とにかく、どんなジャンルだろうが、ポンタワールドを繰り広げて、圧倒的ドラミングが、爽快だった。

そんな、村上ポンタ秀一さん、エリック・クラプトンでさえ、キングと崇める、あの、B.B キングとも、セッションしている。

世界的なドラマーであることは、間違いない。

村上ポンタ秀一さんは、よく、こんなことを語っていた。

「ドラムがクソなバンドは、クソだ」。

そうだ、バンドやオーケストラなども含め、やはり、それらの屋台骨となるのは、ドラムなのだ。

だから、ドラムが、クソだと、クソになる。

お口が、少々、やんちゃなところがある。

しかし、スティックを一度、握ると、言葉では、言えないほどの、リズムが、繰り広げられて、たちまち、ポンタさんの虜になってしまう。

日本の数あるドラマー達の中でも、ポンタさんには、かなわなかった。

だから、お口も、 結構、辛口だったが、腕があったのだから、誰も何も反発できなかったのだろう。

ポンタさんの、ドラムフィールは、どちらかと言うと、「ライトフィール」。

サウンド自体は、軽い方だが、それ故、どんなに手数の多い音符でも、寸分の狂いもなく、完璧にこなす天才ドラマーだ。

リズム楽器の最も難しいジャンルとされる、モダンジャズでさえ、ちょちょいのちょいで、やってのける、文字通り、世界に通用するドラマーだと言っていい。

さて、では、次は、いよいよ、我がドラムの師匠、松田弘さんについて、探っていこう。

松田弘的ドラム感

1956年4月4日生まれ。

宮崎県出身。

筆者の場合、ドラム論を語るにあたっては、先の村上ポンタ秀一さんと、この、松田弘さんが、どうしても、比較対象になる。

と言うか、この、2人以外は、不要で、この2人さえいれば、ありとあらゆるドラム道は、完結してしまう。

それほど、強烈な2人なのだ。

実は、村上ポンタ秀一さんと松田弘さんは、双方、日本のドラマーの頂点に君臨するものの、似て非なる存在だと思っている。

もっと言うと、村上ポンタ秀一さんと松田弘さんは、正反対の軸に属するのかも知れない。

ポンタさんの場合、極端に言うと、ドラムと言う楽器1つでも、成り立つほど、引き出しが多彩で、リズムが無限に溢れ出てくる。

一方、松田弘さんの場合、バンドの中の屋台骨としての役割であるドラミングを忠実に、あくまで、ボーカルを引き立てる役割としてのドラミングが、超絶で、しかし、それは、ボーカルだけが気持ちいいんじゃなくて、自分も一緒に高揚していくと言う、1曲、1曲にストーリー性を持たせて、癖にさせられるリズム感の持ち主だ。

カッコいいフレーズを、次々と楽曲に散りばめ、癖になる。

事実、これは、サザンビートの中で、ご自身が発していたコメントだが、「オレの中でのドラミングとは、あくまで、ボーカルを活かすのが信条だ」と語っている。

確かに、松田弘さんのドラミングを
よくよく聴いてみると、Aメロ、Bメロ、2番、3番と進行するにつれて、特に、ハイハットとべードラの刻み方は、微妙に、抑揚が付いていて、高揚感が湧いてくる。

言われてみれば、もう、かれこれ30年くらい前になるが、サザン中毒だった、筆者は、とにかくサザンの楽曲をコピーしようと、YAMAHAのお店で、サザンのバンドスコアを買って、松田弘さんのコピーをしようとした時、なんで、松田弘さんの、ハイハットと、 べードラって、こんなに複雑なん?

そう、思っていた。

他のバンドのバンドスコアのドラムパートは、あるリズムが一定の間、刻まれて、おかず、それが、典型的なパターンだった。

その当初は、気づかなかったが、ちゃんとストーリーがあったのだ、と言うことを、今になって理解したと言うか。

今更ながらと言うか。

30年間、聴いてきて、ようやく、本当のスゴさに気付いたのだ。

で、結局のところだが、ポンタさんのドラムテクは、無限で一見の価値はあるし、いくら、ポンタさんが、フィルを抑えても、ドラムがスゴすぎて、実は、ボーカルが霞んでしまうのだ。

ポンタさんが、勝っちゃう。

アンサンブルやジャズ、フュージョン、オーケストラなどでは、ぽんたさんが入れば、無敵だ。

反して、だから、最終的に、ココロのずっと奥の方に、残るのは、 松田弘・・・と、こうなる。

セックスと同じで、ヒロシさんのドラミングは、お互いに気持ちよくないと、ダメで、お互いに、高揚し合って、フィニッシュすると言う、一連の爽快感があって、それでいて、ヒロシじゃないとダメって言う、中毒性のある強い癖が、おかずとして、散りばめられている、そんな感じだ。

テクニシャンのポンタに対して、感情移入してココロまでイカしてしまう、ヒロシとでも言おうか・・・。

サザンビートから垣間見える松田弘まとめ

松田弘さんのドラム道とは、筆者は、こう結論付ける。

松田弘さんのドラムには、ビートがある。

ヒロシさんの、リズムは、「重い、と言うか、1音、1音がずっしりしている」。

なかなか、言葉では、難しいが、一般的に、ドラムは、皮の反動を利用して演奏する楽器だ。

その反動を、いかに利用して、リラックスして演奏できるかが、ドラミングには適していると、 一般的には、言われている。

これは、ポンタさんのドラミングが、まさにそうで、反動を利用しまくり、ライトテイスティングで、軽やかで、力みがない。

しかし、今回の、サザンビートで、松田弘さんの、演奏を改めて、全見してみたところ、分かったことがある。

ヒロシさんも、そんな、当たり前のことは、当たり前に、実践しているものの、それでいて、リズムに抑揚があって、重たいのである。

軽い音を叩くのは、鼓笛隊でも出来る。

しかし、スマホで音楽を聴きながら、これは、重たい、つまり、重厚感ある、スネアだと聞き取れる楽曲は、少ない。

重たいと言う言葉は、ドラミングには、否定的に取られることが多いが、ヒロシさんの場合は、全くの別物。

普通、重たいドラムは、ハシる、モタるに繋がる。

しかし、ヒロシさんの場合、重たさが、しっかり伝わり、それは、むしろ、重厚感があるように聴こえる。

かと言って、手数が多くなっても、きっちりと、音符内に納めてしまう。

これが、ヒロシ中毒になる要因だ。

ずっしりとした重厚感あるビートと、特徴的なフィルインが、松田弘中毒になる要因である。

中でも、スローな16ビートは、泥臭くてちょー絶カッコいい。

松田弘の真骨頂は、16ビートにある。

軽くしなやかに、細かいフィルもこなすドラミングは、いかにも、教科書通だが、多分、テストで言うと80点以上の評価になるだろう。

だが、そこには、味気がないのだ。

ある程度のレベルまで、達した人だと、恐らく、誰が叩いても同じように聴こえるだろう。

美しいが、記憶に残らない。

その、正反対が、ヒロシさんで、何かちょっと泥臭くて、癖が強くて、ココロの奥まで染み込んで来て、コレステロールのように溜まっていく。

それが、独特のリズム感として、記憶に残る。

そう、このリズム感こそが、THE 松田弘なのだ。

だから、松田弘のドラミングは、癖になって、耳から、離れず、いつまでも、記憶に残る。

soul 松田弘 万歳!

 

 

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